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第10回学会長の種村純先生から失語症に関するシンポジウムの企画を依頼されたとき,いくつかのアイディアが思い浮かんだが,持ち時間が3時間とうかがって,折角なのでなかなか扱えないような「大きなテーマを」と考えて企画したのが本シンポジウムである.
「失語症」という障害を包括的に理解する枠組みとして本シンポジウムで用いたのは,WHOの国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:以下ICF)である.1980~1990年代において,障害をとらえるモデルとして用いられていたのは国際障害分類(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:以下ICIDH)であった.ICIDHにおいて,障害とは機能障害だけでなく,さらに能力障害と社会的不利からなる3次元のものだと明示されたことの意義は大きかった.しかしICIDHでは,これら3次元間の関係が一方向的な因果モデルとして表現されていたり,障害における環境や社会の要因が不明確であることへの批判が強かった.現在のICFでは,機能障害,活動制限,参加制約の3次元は相互に独立しており,また背景因子として環境因子と個人因子が明確に位置づけられている.そして,これらの構成要素間の関係は,すべて双方向的・相互作用的だと明記されている.したがって,それぞれの演者から各次元における「評価と介入のいま」を独立して講演していただき,最後の総合討論で構成要素間の相互作用について議論すれば,失語症を包括的に理解できるのではないかと考えた.
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