特集 ケアリングコミュニティと地域リハビリテーション
スポーツで拡がるケアリングコミュニティ
宮地 秀行
1
1障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール
pp.304-307
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201234
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はじめに
新型コロナウイルス感染症拡大の影響でパラリンピックが1年延期となりました。本来であれば,今頃パラアスリートのパフォーマンスを目の当たりにした多くの障害者が,スポーツへの関心と参加意欲を駆り立てていたのではないかと想像します。
さて,パラリンピックを頂点とする障害者スポーツのルーツは戦傷者の早期社会復帰を目的とした訓練とされています。第二次世界大戦下,ロンドン郊外にあるストーク・マンデビル病院に設置された脊髄損傷病棟の所長グッドマンが治療の一環としてスポーツを導入したのが始まりで,患者同士を競わせながら体力・運動能力の向上を図るとともに精神的・社会的自立を促したのです。
東京パラリンピックの開催は,障害者の競技スポーツをさらに発展させることになるでしょう。ですが,私たちは障害者スポーツが注目される今だからこそ,原点であるグッドマンの考え方を応用し,これまでの障害者スポーツの領域では対象となりにくかった障害にこそ目を向けて,スポーツによる自立と社会参加支援(リハビリテーション・スポーツ)を推進したいと思うのです。
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