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本書は7年前に発行された『パーキンソン病はこうすれば変わる—日常生活の工夫とパーキンソンダンスで生活機能を改善』の続編である。本書は多くの方々にご活用いただいているが,さらに今回,パーキンソン病の解説はできるだけわかりやすい表現で記述するようにし,新しいバージョンのダンスも加えられている。執筆者は,パーキンソンダンスの第一人者である森ノ宮医療大学の橋本弘子先生,大阪府立大学の高畑進一先生,広島大学の宮口英樹先生,森ノ宮医療大学の中西 一先生である。
最初は宮口英樹先生による「パーキンソン病について」の記載に始まる。診断基準,疫学,非運動症状,リハなどが要領よく解説されている。診断基準の項目では,British Brain Bankの基準や2018年の日本神経学会の診療ガイドラインも掲載されていて新しい。次は高畑進一先生による日常生活でどのような困難が生じるかの解説であるが,ここで感心するのは,意識せずに行う動作の障害,複数の手順が必要な動作の障害,同時に2つの動作を行うことの障害のように,ある動作を行うとき,それを取り巻く環境がどうなっているかを考慮して書いてあることである。各症状ごとに,表の形でまとめ,それぞれにその解決法も書かれており,どのような症状が家庭で困難になるかが一目瞭然である。例えば家でテレビを見ているとき,喉が渇いて台所へ水を飲みに行く場面を考えてみよう。このとき早くコップを探して水を飲もうと考えていると多くの人はすり足歩行になってしまう。このとき椅子から立ち上がってまず踵からついて歩かなければいけないと,足に対する注意を思い出せば,普通に近く歩くことが可能である。病気になる前は歩くことなど気にかけなくともちゃんと歩けたのが,パーキンソン病になってしばらくすると,足に注意を払わないとすり足になってしまう。神経内科医が気がつかない面まで広く解説しておられる。
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