連載 訪問リハに役立つフィジカルアセスメント—“気づき”と“療法士判断”・第17回
疾患特性に基づく療法士判断—6.よくある疾患のリスク管理(心不全)
堀田 富士子
1
1東京都リハビリテーション病院 医療福祉連携室
pp.358-361
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200860
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はじめに
今日のテーマは心不全です。
西野さん(仮名)は80歳,男性。奥様と二人暮らしである。心房細動で長年加療をされていたが,昨年脳梗塞右麻痺,失語症を発症し入院した。リハビリ病院を経由して先日自宅退院が決まった折に,在宅での環境調整も含めて訪問リハビリが導入された。今日は2回目の訪問日である。前回の様子では右麻痺は軽度で補装具などは使わずADLはほぼ自立されていた。ただし失語は運動性で重度であった。発語失行を伴い発語は見られなかったが出版社役員として仕事をされていたこともあり,大変落ち着いた雰囲気の方であった。奥様のお話では以前から活動的ではなかったが,退院後はさらに自宅のソファに座っている時間が長くなったという。
今日訪問すると,奥様からいつにも増して動きたがらないと訴えがあった。下肢のむくみも強いという。確かにご本人の倦怠感は強い様子で両眼瞼もやや重く見える。両下腿の浮腫も強くなっていた。血圧125/85 PR90不整。体温36.5℃,SpO2 90%,体重68kgで先週より4kg増加していた。
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