連載 訪問リハに役立つフィジカルアセスメント—“気づき”と“療法士判断”・第11回
疾患特性に基づく療法士判断—1.廃用症候群
堀田 富士子
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1東京都リハビリテーション病院 医療福祉連携室
pp.936-939
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200737
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はじめに
さて,10回の連載を通じて訪問リハのフィジカルアセスメントについての概論を記しました。“気づき”は情報と観察から,でしたね。今日の訪問リハをどうするかの直感的判断,そして倫理的配慮とともに生活機能全体の予後予測を行い,情報共有に始まるに地域力を駆使してのこれからを作っていく方向付けを,ここでは療法士判断として紹介してきました。
ここからは,疾患特性に基づいた療法士判断について考えます。今回は廃用症候群をテーマにしました。今回は,訪問した時,利用者さんがこんな様子だったらと想定して皆さんも考えながら読み進めてください。足りない情報はそれぞれ想定していただいて構いません。
山田さん(仮名)72歳,後縦靭帯骨化症(OPLL)による不全四肢麻痺。独居。要介護4。無口で怒りっぽい性格だがコミュニケーションは可能。介護保険を利用して生活されている。近隣に息子さんと娘さんが在住。金銭的な面は息子さんが援助,身の回りのお世話の手伝いにお孫さんを連れて娘さんが週に1回程度訪問していた。先日まで皮膚疾患のため2カ月入院していた。退院後訪問したヘルパーさんから,それまで介助で可能であった座位・移乗動作が不可能になっていると報告を受けていた。入院中は一時食欲低下もあったが現在は戻り,ほぼ全量食べられている。療法士が訪問時,座位を促すと「苦しいから嫌だ」と強く拒否された。現症は体温36.5℃,血圧110/80mmHg,脈拍120回/分,整,SpO2 95%,呼吸数20回/分であった。
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