講座 運動療法とリスク管理・1
心疾患患者の運動療法とリスク管理
渡辺 敏
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
pp.43-48
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104459
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はじめに
心疾患患者に運動療法を実施する場合,だれしも当然のことのように心電図(electrocardiogram;ECG)や血圧(blood pressure;BP)などを監視して,リスク管理を実践していることと思う.これは本疾患の特徴から,ECGやBPなどからの情報が,訓練中止基準や病態管理の重要な指標となることに加え,これらの管理を怠ることは,病態を悪化させることにつながるからである.また,運動の制限因子(limiting factor)1)が,筋・骨格・神経などの運動器以外にある心疾患(例えば,走ろうと思えば走ることのできる下肢機能は残存している)にとって,制限因子を管理することは,患者教育を含めまさにリスク管理そのものである.
そこで今回,私に与えられたテーマの“リスク管理”では,前述のように病態に直接関与するリスクや,心筋梗塞(myocardial infarction;MI)の心筋治癒過程に伴うリスクの考え方,睡眠不足や過労または環境因子などの身体運動に関与するリスクなど,心疾患を取り巻くさまざまなリスクについて解説する.
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