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はじめに
千葉県我孫子市では2005年以降,失語のある人のコミュニケーションと社会参加を支援するために失語のある人向けの意思疎通支援者(旧名称は失語症会話パートナー)の養成を,そして2007年10月から失語のある人へ意思疎通支援者を個別に派遣する事業(以下,派遣事業)を行っている。これまでに84名が養成講座を修了し,61名が派遣事業の登録者として失語のある人に対するコミュニケーションの支援を行ってきた。
厚生労働省は,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)の見直しに伴い,このような事業を市町村地域生活支援事業における意思疎通支援の必須事業とする方針を立て,都道府県地域生活支援事業における「専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成研修事業」の中に失語のある人向けの意思疎通支援者を養成する事業を新たに加えた。それに伴い,2015年に厚生労働省からの委託事業としてみずほ情報総研株式会社が行った「平成27年度障害者支援状況等調査研究事業」1)において,失語のある人の意思疎通支援者を全国一律で養成するための標準カリキュラムが作成された。この標準カリキュラムは,必修科目40時間,選択科目40時間から構成される。また,2016年および2017年には,市町村地域生活支援事業の「特別支援事業」として,この標準カリキュラムに基づくモデル事業を実施することになった。
我孫子市の意思疎通支援者養成講座は,当初27.5時間で実施していたが,受講者のコミュニケーション姿勢や会話技術の習得の効果を検討しながら2009年から2014年までは20時間,そして2015年以降は4時間に養成時間を大幅に短縮して実施してきた。しかし,上述のような厚生労働省の方針に合わせるため,2016年に標準カリキュラムに基づくモデル事業を実施することになった。
本稿では,そのモデル事業の取り組みについて,実施内容および結果などを報告する。
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