巻頭言
広さと距離の壁
石合 純夫
1,2,3,4,5,6,7
1北海道リハビリテーション支援センター
2札幌医科大学リハビリテーション医学講座
3全国地域リハビリテーション支援事業連絡協議会
4日本リハビリテーション医学会
5日本神経学会
6日本認知症学会
7日本高次脳機能障害学会
pp.804-805
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200706
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かつての北海道には鉄道網が張りめぐらされていた。列車の本数こそ少なかったが,その着発の時間帯には,街の人が現れ会話が交わされた。鉄道と駅は街と街とをつなぐもの,また,人々をつなぐものとして機能していた。少し大きな街には,小さいながらも映画館などもあった。国鉄末期から1987年の国鉄分割民営化の後,鉄道の廃線が進んだ。自家用車の普及がそれを推し進め,人々は,列車の時刻に縛られることなく,自分の生活に合わせて必要な場所に赴ける便利な時代になった。
道北のオホーツク沿岸,浜頓別町のバスターミナルには,天北線の記録を残す写真や駅の備品などが展示されている。「この町に電車(?)が走っていたんだ!」という女子高生の言葉に驚いたが,鉄道は忘れ去られていた。時が過ぎ,駅跡は一部で道の駅などになって,それとわかる形で残っているところもあるが,街の雰囲気はずいぶんと変わった。インターネットのGoogleストリートビューで,地図から記憶に残る場所に降り立ってみると,建物は新しく綺麗になり,当然のことながら,街道に沿って伸びる街並みとなっている。
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