学会だより 第57回日本循環器学会
広い裾野と高い成果
河合 祥雄
1
1順天堂大学医学部循環器内科
pp.740
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901595
- 有料閲覧
- 文献概要
循環器系の学会の中で最大の現模と情報を有する,日本循環器学会学術集会が,3月25日から27日,幕張で開催された.口述演題758,ポスター1,080,講演5,シンポジウム3,パネル討論3,カンファランス6,レクチャー2,教育セッション2と多彩で,前後に開催された研究会を加えると,総演題数は1,900題を超え,増田助教授をはじめとする一門の先生がたのご苦労・ご努力のほどが忍ばれた.本学会は,現時点の研究動向,循環器医の関心を知るうえで有用であるので,興味井ある読者は抄録を参照できるように記載する.
稲垣会長は講演"心筋虚血の画像診断:現状と将来"で,各種画像診断法の有用性と目的に応じた総合評価の重要性を強調された.シンポジウムは,"循環調節機構""血管内皮糸細胞の障害と修復""収縮不全と拡張不全の関連"であり,内皮細胞に関し,細胞生物学的手法による研究が目だった.パネル討論では,国民的課題である"心臓移植の適応とそれをめぐる諸問題"が,主に医療技術者の踏まえるべき問題点を確認する方向で論じられた."細胞内情報伝達の仕組み"(西塚泰美)では各種の細胞内情報伝達機構の複雑なネットワークがわかりやすく解説された.KL Gouldの"冠状動脈疾患弔症度評価の日本での適応"は,豊かな教養に裏打ちされた示唆に富む内容で,多くの聴衆に感銘を与えた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.