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はじめに
平成27年度の介護報酬改定により,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)にリハビリテーションマネジメント(以下,リハマネ)加算Ⅰ・Ⅱが新設され,リハマネ加算Ⅱについては,リハ会議への医師参加と本人・家族への説明と同意が算定要件となった。訪問リハにおいては,訪問リハ本体の報酬単位の減算となったが,リハマネ加算により従前の報酬より実質マイナスとはならなかった。他方,訪問看護ステーションからの訪問看護の業務の補完としてのPT・OT・ST(以下,セラピスト)の「訪問看護Ⅰ5」の1単位の報酬単価は,訪問リハと同等になり,従前より実質減算となった。
平成26年に開催された「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」において生活期リハマネの現状と課題が議論され,これまでのリハマネの流れにおいて,事前調査時期,計画策定期,評価期,サービス終了期の課題が挙げられた(図1)。その課題として,リハ実施計画がケアプランに反映されないことやサービス担当者会議の形骸化などにより,リハによる活動や参加,そして自立支援のアプローチが不十分であることが指摘された。それらの課題から生活期リハマネの再構築として,SPDCAサイクル〔Survey(初回調査),Plan(計画),Do(サービス提供),Check(評価),Action(改善)〕を通じたリハマネの流れが見直しされた(図2)。見直しのポイントとしては,多職種の協働に基づくSPDCAサイクルの仕組みとしてリハビリテーション会議(以下,リハ会議)による連携と協働,そして標準化された様式に基づく情報共有を図った。リハ会議では,多職種と医師との協働がこれまで十分でないとの指摘から,医師を巻き込むとともに多職種協働および医師による本人と家族への説明・同意により,医師によるリハと本人や家族への介入機会が増え,さらに多職種へのリハ視点の共有を推進できることになった。
本稿では,訪問リハの質と医師,多職種との協働を推進するためのリハマネの現状と課題に触れるとともに,特にリハマネと,医師との協働を中心に平成27年度老人保健事業推進費等補助金「老人保健健康増進等事業」の「通所・訪問リハビリテーションの適切な実施に関する調査研究事業調査研究事業」報告書(以下,報告書)1)なども踏まえ,論じていく。
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