特集 ケア×ケア
看護と介護が協働するとき
看護側から見た協働の利点と課題―当院の取り組みを中心に
服部 紀美子
1
Kimiko Hattori
1
1医療法人渓仁会定山渓病院看護部(北海道)
pp.471-475
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101270
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はじめに
定山渓病院は378床の全床療養病床の病院である.療養病床とは,急性期を脱し病状が安定したが,医学的管理・リハビリテーション訓練が必要な,主に長期療養の患者が入院する医療機関である.一般病棟は治療しながらのケア提供であるため看護職員数は多いが(施設基準13対1以上で看護職員の7割以上が看護師であること),療養病棟は生活支援を通しての治療や訓練であることが多いため,看護職員以外に生活支援が提供できる職員(介護職)も多く配置されている.そのため,一般病棟と比較して看護職員数は少なく(施設基準25対1,20対1で,看護師は看護職員の2割以上),看護と介護職員はほぼ同数を占める病棟もある.
私は1999年4月に一般病院(当時は救急病棟)から当院に異動した.異動当時,医療療養病棟の師長(兼務副看護部長)を任されたが,当時の病棟体制(看護職6:1・介護3:1)では,看護職は診療補助業務に追われ,日常生活支援は主に介護職が行なっていた.それは協働というより,介護職が看護職の行なうケアの一部を任されていると感じた.当時の介護職は看護職の指示の下にケアを行なっており,「看護師に言われたから」「指示をされていない」など指示待ちでのケアであり,それは,介護職というより看護助手・看護補助としたほうが的確と思えた.
しかし,同年7月29日の抑制廃止宣言や,2000年の医療療養病棟への病棟編成の経過のなかで,介護職は療養生活の視点からの生活支援,看護職は治療過程での生活支援と役割が明確化されていき,看護職と介護職がお互いの職を理解し,サービスの質の向上・スタッフのモチベーションの向上が認められていったのである.
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