特集 これからの地域看護のかたち—施設篇
在宅ホスピスにおける看護師の役割—生と死を支える看護
反町 利恵
1
,
生方 ちはる
2
1特定非営利活動法人在宅福祉かんわケア大地
2ホスピス和が家
pp.792-796
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200501
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はじめに—ホスピス和が家
在宅ホスピスとは,治癒しない病を抱えている人が,その人の望む暮らしが送れるよう痛みや不安などの症状を緩和する医療や日常生活の援助を受けることにより,その人の暮らしの場である家でその人らしく生きることができるよう生を支えることである。症状緩和がメインの緩和ケア病棟と大きく異なるところは,在宅ホスピスとは,“暮らしを支える”というところにある。
製糸業で栄えたこの町のとある旧養蚕農家である古民家(図1)がこの「ホスピス和が家」(以下,当施設)の誕生である。在宅ホスピスの草分け的存在の小笠原一夫医師(緩和ケア診療所いっぽ 院長)が平成15(2003)年に「どんな状態にある人も理解して受け入れられ,ほっとした気持ちで最期を迎えられる,そんな場所が必要である。医療主体ではなく,暮らしを優先する」と,当施設を設立した1)2)。
当施設の常駐職員構成は,介護職である。医療においては,外部から訪問診療・訪問看護を受けており,看護師である筆者は,介護職である常駐職員の主に相談役となっている。
現在,当施設では認知症などの慢性疾患やがんの方など13名の方たちの生と死を支えている(図2,3)。
本稿では,この当施設で出会った2人の方を紹介しつつ,「在宅ホスピスにおける看護師の役割」を述べたい。
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