特集 これからの地域看護のかたち—施設篇
老人ホームの看護師の役割—暮らしの中で支える医療技術
吉松 泰子
1
1株式会社誠心
pp.785-791
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200500
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はじめに
超高齢社会の到来に伴い,将来への不安のトップに挙げられるのが介護問題である。その解決のために,高齢者の施設として,特別養護老人ホーム,療養型病床群などがある。また,住まい(在宅)として,有料老人ホームがあり,その役割は,高齢者への住まいの提供にある。高齢者が介護を受けながらも尊厳を保った暮らしができる住まいを提供することが求められている。そこでの看護師の役割は,高齢者の暮らしを支えるための看護である。しかし,看護師は治療現場で治療の看護を重点に教育され育ったことで,「高齢者の暮らしを支える看護」を求められても,その方向性を定めることができず,看護師としての誇りや,やりがいを見失うことになってしまう。超高齢社会の到来に伴い,老人介護の問題が浮上する中,暮らしを支える看護師を育てることが必要であるとの認識が高まり,3年前より,日本看護協会も「暮らしの看護」の教育に力を入れているように感じる。ナイチンゲールは「看護師は,病気を看護するのではなく,病人を看護するのである」と言っている。また,「看護師とは対象者の生活過程(暮らし)を通して,認識と生命体に働きかける援助者であり,暮らしを整えることが看護師の機能である」と彼女の看護論から学ぶことができた。老人ホームは,ナイチンゲールの看護を実践できる随一の現場であると考える。「暮らしの看護」の実践で,看護師としての喜びや誇りを感じてくれると確信している。
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