連載 病院でこの言葉は使えませんでした。[4]
「専門の先生に診てもらいたいのですが……」
櫻井 公恵
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1NPO法人GISTERS
pp.326-328
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200203
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聞いたことのない病気になって
私の夫が消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;GIST)という希少がんに罹患したのは2004年、今から13年前のことです。罹患者数は10万人に1〜2人。当時はインターネットを使っても、本屋や図書館に行っても、GISTについての詳しい情報は見当たらず、情報収集には大変苦労しました。ようやくインターネットで探した文献を主治医に見せたところ、「よく探し出しましたね。大学の教科書みたいだ」と言われたことを思い出します。
希少疾患のような患者数が少ない病気では、日常生活ではもちろんのこと、病院に行っても同じ病気の人に出会うことはまずありません。見たことも聞いたこともない「GIST」という病名を目の当たりにして、当事者としてとてつもない孤独や不安、混乱を抱えてしまった患者は、目の前の主治医の先生を己の師とばかりに頼りにします。私たちもそうでした。患者とその家族にとって、主治医の先生はなんでも知っているはずの尊敬すべき人なのです。
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