Book Review
間接法による吃音訓練 自然で無意識な発話への遡及的アプローチ—環境調整法・年表方式のメンタルリハーサル法
小嶋 知幸
1,2
1武蔵野大学大学院人間社会研究科
2武蔵野大学人間科学部
pp.832
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200260
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川の流れのように
人が,「思い」をことばにして口に出す。私たちが普段何気なく行っているこの行動の中身はどのようになっているのであろうか。もちろん脳の営みであることは間違いない。Levelt1)によれば,ことばの表出は,大きく,語彙選択(lexical selection)から語形変換(form encoding)を経て,構音設計図(articulation score)へと至るプロセスから構成される。さらに細かく述べると,語彙選択は,伝えたいメッセージから語彙的概念(lexical concept)へのマッピングと,それに続くレマ(lemma)の活性化から成る。レマとは抽象的な語のノードである。一方,語形変換は,語の形態素をなす音韻コードの回収,音節形成,音素変換の3過程からなる。
「話す」というプロセスを川の流れに例えると,メッセージの想起は地下水の湧出であり,最終的なことばの表出は河口ということが可能かもしれない。
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