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今,日本の医療は,急性期治療にての救命救急の後,積極的リハを実践し,在宅へ帰るというシステムが本格化されています。しかし,その在宅生活を問題なく送るため一番の問題となるのは何でしょう? トイレが一人でできること? 洋服の脱ぎ着ができること? お風呂に入れること? これらも日常生活を行ううえでは大事なことですが,やはり,1日3回の食事に関する問題,いつ,誰が,どのような内容をどのようにつくる,ではないでしょうか? もちろん家族と同じ食事を食べられたら問題ありませんが,高齢に伴う咀嚼力の低下や脳血管疾患後の摂食嚥下機能低下=飲み込みが困難な方には,この特別にみえる食事のかたちや材料の軟らかさ加減が「在宅に帰るための大問題!」につながることもあります。例えば,普段お料理をする方も,しない方にもわかりやすい説明や指導を受ければ,「そうか!わかった。こうすれば良いのね」と言えるでしょう。また,そのお食事のつくり方を教える立場の方々(医療・福祉関係者)が確実に教えていただけば良いのですが,調理指導する側の知識は大丈夫でしょうか? この相反する立場の状態でも解決へ結びつけていく手段が,この本書を熟読することであります。言い換えれば,「飲み込みが困難な人のための食事つくりが成功するためのバイブル」になる1冊です。
本の内容を簡単に紹介しますと最初,パッククッキング(食材をポリ袋に入れて電気ポットで加熱する調理法)から始まり,次に市販の介護食品の選び方の紹介もあります。そして,嚥下調整食2〜3レベルの軟らかい食事内容を中心につくり方,素材の使い方がわかりやすく目安も含めて記載してあります。高齢の旦那様が奥様の食事をつくる家庭も増えています。料理の経験がない方にも読んで理解していただける内容にしてあります。最後にはQ & A方式で多くの皆様がお困りの内容をわかりやすく解説していただいています。本書のように痒いところに手が届くようなアドバイス本を見たことがありません。著者は訪問栄養食事指導,摂食嚥下のスペシャリストであり,豊富な経験の土台に優しさと気配りとエッセンスが加わり愛情の深さが伝わります。
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