Japanese
English
綜説
自動車事故における胸部外傷—自動車事故の実態調査から
Chest Injury Caused by Traffic Accident:from clinical survey of motor vehicle crashes
篠原 一彰
1
,
田部 宗玄
1
,
加藤 菜穂
1
,
岡崎 次郎
1
,
佐久間 宏規
1
,
熊田 芳文
1
,
松本 昭憲
1
Kazuaki Shinohara
1
,
Motoharu Tanabe
1
,
Naho Kato
1
,
Jiro Okazaki
1
,
Hironori Sakuma
1
,
Yoshibumi Kumada
1
,
Akinori Matsumoto
1
1太田西ノ内病院救命救急センター麻酔科
1Department of Critical Care Medicine, Ohta Nishinouchi Hospital
pp.587-594
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902485
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はじめに
自動車事故は日常的な災害であり,シートベルトやエアバッグは車に乗る者なら誰でも知っている「安全装置」である.しかし,その実際の効果を検討した医学論文は欧米1〜7)に比べ本邦8〜12)では少ない.また,現在成人において後部席でのシートベルト着用義務はないため(反則金制度を免れている),後部席ではシートベルトを着用しなくても安全だと考える者も少なくない.さらに,わが国には「軽自動車」という独自の小排気量車が存在するが,これが普通自動車と比べて安全性にどれだけ違いがあるか,といった点などについても,これを臨床医学の見地から検証した報告13)は稀であった.
われわれは,従来より自動車事故において,その乗員が受傷する外傷の実態を多角的に分析し,乗員の重症度を規定する因子につき検討してきた13〜16).本稿ではその総括を述べるとともに,特に重症胸部外傷についてその詳細を検討したので以下に述べる.
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