連載 実践から読み解く地域リハと地域包括ケア・第3回
私の地域リハと地域包括ケア—作業療法士としての歩みから考える
村井 千賀
1
1厚生労働省老健局老人保健課
pp.667-670
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200207
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昭和57年リハビリテーションの現状
筆者は作業療法士として,昭和57年に産声を上げ,リハビリテーション専門病院に勤務した。当時のリハビリテーションは,患者の長期入院や冬と農繁期に入院してくる患者など高齢者の社会的入院が課題となっていた。学校で学んだリハビリテーションとかけ離れた現実に疑問を感じた。作業療法士としてできたことは,病院を生活の場として,入院患者がしたいと思う作業を,好きな時間に提供し,作業療法室はアクティビティセンター化していた。その中で,在宅訪問,職場訪問などを行い,患者が望む生活に戻れるよう細々と働きかけていた。患者が退院しない理由は,「家に帰ってもすることがない」「元通りの身体にならないと退院できない」「家に帰るとお金がかかる」「家族の介護負担になる」などが聞かれた。いずれも幸せそうではなかった。脳卒中や障害者になったら,老後はしかたなく入院といった選択しかないように見えた。
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