特集 地域における透析患者のリハビリテーション
透析患者に対するリハビリテーションの実際
忽那 俊樹
1
,
松永 篤彦
2
1北里大学東病院リハビリテーション部
2北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
pp.479-484
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200150
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はじめに
慢性腎臓病患者を対象とした「腎臓リハ」は,運動療法,薬物療法,食事療法および精神的ケアなどを包括したリハの一分野として注目されている。特に,透析患者に対する運動療法を中心としたリハの有効性は,1990年代後半から諸外国で盛んに報告されている1)2)。近年,腎臓リハは本邦の諸学会でもテーマとして取り上げられることがあるものの,臨床現場においてはリハ専門職の間でもいまだ広く知られているとは言えないのが現状である。
透析患者のほとんどは地域の病院やクリニックで透析治療を受けているが,それらの医療施設にはリハ専門職が在籍していないことが多い。リハ専門職がいたとしても,現在の診療報酬制度では腎疾患がリハの対象疾患とされていないため,急性発症したリハの対象疾患のない透析患者は医療施設でリハを受けることができない。一方,2013年末には本邦の透析患者が31万人を超え,そのうち65歳以上の高齢者が62%を占めており3),要介護認定を受ける透析患者が増えている。そのため,透析患者が新たな疾病を予防し,生活機能の向上や社会参加を通じて,いきいきとした生活を送れるように,地域において実施される訪問リハや通所リハには大きな期待が集まっている。
本稿では,訪問リハや通所リハの利用者が透析を受けている場合を想定し,透析患者に対する生活指導を中心とした地域リハの考え方とその方法について述べる。
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