Japanese
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特集 骨折とリハビリテーション
透析患者の骨折とリハビリテーション
Rehabilitation of Fracture in Hemodialysis Patients.
今井 亮
1
,
小野 利彦
2
Ryo Imai
1
,
Toshihiko Ono
2
1京都第一赤十字病院整形外科
2桃仁会病院泌尿器科
1Department of Orthopaedic Surgery, Kyoto First Red Cross Hospital
2Department of Urology, Tojinkai Hospital
キーワード:
血液透析患者
,
骨折
,
腎性骨異栄養症
,
アミロイド関節症
Keyword:
血液透析患者
,
骨折
,
腎性骨異栄養症
,
アミロイド関節症
pp.649-653
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108703
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はじめに
1996年12月31日現在,わが国の慢性透析患者は167,192人で,毎年ほぼ直線的に増加している.透析療法の進歩は生命予後を改善し,5人に1人が10年以上の長期透析患者であり,最長は30年である8).一方,最も頻度の高い長期透析による骨・関節合併症は,患者のQOLを著しく低下させているにもかかわらず十分には解明されていない3,13,14).その原因として,二次性副甲状腺機能亢進症(2HPT)やアルミニウム骨症(A1骨症)などの腎生骨異栄養症(ROD)とアミロイドの沈着による透析関連アミロイド症(DRA)が重要である1,4,5,7,14,15).最近は,治療に抵抗性のRODや骨代謝回転が極度に低下した無形成骨(ABD)が問題になっており,RODの予防や治療はまだ満足のいくものではない.また,DRAもアミロイドの沈着により骨嚢胞を形成し,大きくなると骨折発生の危険因子となる1,15).
このように腎不全によって慢性透析治療を受けている患者はRODによる骨の脆弱性やDRAによるアミロイド骨嚢腫,透析患者の高齢化,糖尿病性腎症による導入患者の増加等により骨折の危険性にさらされている.一旦骨折を生じた場合,骨折後の修復機序は遅延する可能性があるが,これらに関する報告は少ない.そこで,(1)透析患者の骨折の特徴,好発部位,(2)治療に難渋する骨折,(3)リハビリテーションの進め方について,自験例を基に検討した.
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