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特集 透析患者のリハビリテーション—運動制限から運動療法へ
透析患者に対する運動療法のエビデンス
Clinical evidence of exercise training in dialysis patients
忽那 俊樹
1
,
松永 篤彦
2
Toshiki Kutsuna
1
,
Atsuhiko Matsunaga
2
1北里大学東病院リハビリテーション部
2北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
1Department of Rehabilitation, Kitasato University East Hospital
キーワード:
透析
,
運動療法
,
エビデンス
,
身体活動量
,
日常生活活動
Keyword:
透析
,
運動療法
,
エビデンス
,
身体活動量
,
日常生活活動
pp.417-422
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200228
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はじめに
透析患者の身体機能は,栄養障害,炎症,尿毒症,多様な疾病の併存および身体不活動などさまざまな原因によって著しく低下しており,生活の質(quality of life;QOL)は慢性閉塞性肺疾患や慢性心不全を有する者と同等以下にまで低下している1).さらに,高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し,生活機能障害,要介護状態,死亡などの転帰に陥りやすい状態であるフレイル(frailty)という概念が最近注目されており,透析患者の多くにフレイルを認めることが問題視されている2).一方,高齢者や疾病を有する者の身体機能やQOLを改善させるための手段として,運動療法が効果的であることは広く知られている.透析患者に対する運動療法については,1977年にJetteら3)が初めて症例報告をして以降,身体機能面,心理社会面ともに有益な効果が数多く示されている.
透析患者に対する運動療法の必要性については本邦でも広く認められつつあるが,標準的な透析治療の一環として運動療法が多くの施設で行われているとはいえないのが現状である.本稿では,本邦の透析医療の現状(患者層,透析施設・スタッフの状況など)を考慮したうえで,エビデンスに基づいた運動療法や生活指導の方法について提案したい.
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