特集 地域における透析患者のリハビリテーション
透析患者の心理的ケア
堀川 直史
1
1埼玉医科大学大学院リエゾン精神医学・医療心理学課程
pp.472-478
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200149
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はじめに:「地域として行うサイコネフロロジー」の重要性
透析患者には頻繁にさまざまな心理的・行動的問題,精神症状などが起こる。これらは患者に苦痛を与えるだけでなく,家族や医療者の強い負担になり,腎不全・透析の治療とケアを妨げる。特に重要な症状は,抑うつ症状や不安などの感情症状,不眠,せん妄,認知症,そして治療ノンアドヒアランスなどであろう。
このような問題を取り扱う臨床と研究の領域は「サイコネフロロジー(精神腎臓病学)」と呼ばれる1)。これは精神医学と腎臓病学,腎臓病看護学などが重なる新しい領域であり,この臨床は精神科医や心理士だけでなく,地域の多くの職種の医療者が参加する共同作業となる2)3)。言うまでもなく,リハの医療者もこの連携の重要な一員である。このような立場から,本稿では,透析患者にみられる主な精神症状とその心理的ケアの概略を述べることにしたい。
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