特集 在宅における呼吸リハビリテーション
在宅COPD患者における呼吸リハビリテーションの実際
小西 かおる
1
,
宮川 哲夫
2
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
2昭和大学大学院保健医療学研究科呼吸ケア領域
pp.467-471
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200625
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の罹病率は年々増加しており,2001年には530万人,2030年には888万人,2055年には1,126万人と予想されている。死亡率も増加しており,平成27年のわが国の死亡原因の第10位がCOPDであった。
呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)とは,徹底的な患者の評価に基づいた包括的医療介入に引き続き,運動トレーニング,教育,行動変容だけでなく,慢性呼吸器疾患特有の身体的・心理的状態を改善し,健康増進行動への長期的遵守を推進するために患者個々に応じたテーラーメイドの治療が行われる1)。
呼吸リハのエビデンスはいろいろな学会から紹介されているが,2017年のGOLD2)では,① 安定期の呼吸困難,健康状態,運動耐容能を改善させる。② 急性増悪から4週間以内に開始すると在院日数を減少させる。③ 教育のみでは効果はない。④ 医療専門職による自己管理教育は,健康状態を改善させ,入院や救急受診を減少させる。⑤ 統合ケアやテレヘルスは現段階では有用性がない。⑥ 終末期のオピオイド,神経筋電気刺激,酸素投与,顔面へ扇風機で風を送ることは呼吸困難を軽減させる。⑦ 低栄養の栄養補助は呼吸筋力と健康状態を改善させる。⑧ 自己管理教育,呼吸リハ,栄養療法,心身の介入は,疲労を改善させるとされている。
ここでは,在宅COPD患者における呼吸リハの実際について述べる。
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