特集 在宅での栄養管理に関する知識を得よう!
在宅における栄養管理の必要性とその実践
吉田 貞夫
1,2
1医療法人真徳会沖縄メディカル病院 内科
2金城大学
pp.10-15
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200004
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在宅高齢者の低栄養とサルコペニア
低栄養というと,ひと昔前の教科書には,マラスムス型とクワシオルコル型といった分類などが記載されていたが,近年,低栄養に関する概念は多様化している。Jensenら1)は,低栄養を,純粋に飢餓によるもの,慢性疾患や軽度から中等度の炎症によるもの,強い炎症を伴う急性疾患や外傷によるものの3つに分類した(表1)。このように,マラスムス型やクワシオルコル型といった,飢餓による低栄養のモデルだけでは,高齢者の低栄養を理解し,適切な対応を行うことはできない。高齢者は,基礎疾患を抱えていることが多い。また,誤嚥性肺炎などを繰り返したり,重症の肺炎にまでは至らないものの,慢性的に誤嚥のリスクの高い高齢者も多い。栄養状態と疾患,それによる炎症を切り離して考えることはできないのである。
近年,マラスムス型やクワシオルコル型に代わる,低栄養の表現型として,サルコペニア,カヘキシアなどの概念が注目されている。サルコペニアとは,骨格筋減少症のことであるが,単に骨格筋量の減少のみならず,筋力の低下や歩行速度の低下といった身体機能の低下をも含む概念である2)〜5)。炎症が持続すると,サルコペニアの進行が加速されることもわかっている。
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