Japanese
English
特集 脊椎・脊髄の発生と進化
椎骨と脊柱の古生物科学
Paleobiology of Vertebrae and Spinal Column
犬塚 則久
1
Norihisa INUZUKA
1
1古脊椎動物研究所
1Palaeo-Vertebrate Laboratory
キーワード:
化石
,
fossil remains
,
古生物科学
,
paleobiology
,
古脊椎動物学
,
vertebrate paleontology
Keyword:
化石
,
fossil remains
,
古生物科学
,
paleobiology
,
古脊椎動物学
,
vertebrate paleontology
pp.307-315
発行日 2024年6月7日
Published Date 2024/6/7
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202309
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はじめに
古生物学paleontologyは化石を記載,分類,命名し,地層の対比や層序の決定で地質学に寄与する分野である.いっぽう古生物科学paleobiologyは化石の生物学的側面を重視し,進化の解明に寄与する.もともと個体数が少なく,個々の形態が複雑な脊椎動物化石を対象とすることが多く,進化の法則の実例によく挙げられる.化石の骨から全身の骨格を復元するにあたり,現生種の骨格にみられる法則の適用が不可欠である.
脊椎(骨)はvertebra(e)の訳で,臨床医学や動物学で使われている.解剖学では個々の椎骨と総称の脊柱を区別し,今の日本解剖学用語に脊椎はない.頭と頚の関節は解剖学用語では環椎後頭関節だが,環軸系atlas-axis complexが完成したのは哺乳類からなので比較解剖学では頭関節Kopfgelenkを使う.爬虫類には胸椎と腰椎の別がないので,両者の総称としてdorsal vertebraが使われる.この訳としてよく胴椎が当てられているが,解剖学用語の胴は体幹腹側面の体表区分の胸と腹の総称なので不適切である.平光5)や中村・松井18)に先取されている胸腰椎がふさわしい.
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