視座
温古知新
圓尾 宗司
1
1兵庫医科大学整形外科
pp.1125
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900197
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去る4月,日整会総会のあと,上海での中国整形外科学会に招待され,上海から紹興を訪問する機会を得た.紹興市は上海から200km南にあり,兵庫医大のある西宮市とは,灘の生一本,紹興酒という酒造の街の関係で結ばれた姉妹都市である.この関係で,以前に当地の整形外科留学生を1年間私達の教室でお世話をしたのが縁で,今回の訪問となった.
紹興酒の産地の小さな街だろうといった程度の知識で訪れた紹興市は,古い歴史の街であった.ここは春秋時代(B. C. 400年頃)の越の国であり,書道家の王義之ゆかりの蘭亭や,魯迅の生誕地として知られている.上海の郊外にある古都蘇州も同じ春秋時代の呉の国であり,「呉越同舟」はこの両国の関係をいう.紹興市の南方には「会稽の恥」で知られる会稽山があり,ここの越王像の下に「臥薪嘗胆」の故事が書かれている.呉に敗れた越王は,楊貴妃より美人といわれる西施を呉王にささげ,この間,薪に臥し,胆を嘗めて報復の機をうかがったということである.いずれにしても,これらの故事のルーツを現地で知ることが出来,大変興味深かった.
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