Japanese
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特集 顔の科学
Ⅰ.発生と進化
古生物学からみた主竜類の顔面器官の進化
Evolution of the facial organs of archosaurs:a paleontological perspective
多田 誠之郎
1
Tada Seishiro
1
1東京大学総合研究博物館
キーワード:
主竜類
,
恐竜
,
進化
,
軟組織
Keyword:
主竜類
,
恐竜
,
進化
,
軟組織
pp.208-212
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760030208
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現生の鳥類とワニ類を含む主竜類は,地球史上,特に中生代の陸上生態系において支配的であった恐竜類を含む一大分類群である。主竜類は多様な形態を体の各部位に見せるが,顔面もその例外ではない。頭骨の多様性は,顔面にある各器官が果たす機能あるいはその重要性が分類群ごとに大きく異なっていたことを示唆している。21世紀に入り古生物学の分野では,CTスキャン技術の導入を背景としたサンプル数の増加と高度な統計解析を可能にするプログラム言語の普及によって,化石の形態解析に基づく議論の精度が飛躍的に向上した1)。特に頭部の研究において,非破壊に内部構造の観察やデジタル立体構築を可能にしたCTスキャン技術の恩恵は大きく,脳函形態の記載を好例に知識の蓄積が進んでいる。本稿では,昨今の技術革新を受けて新たに明らかになった内容を基に,主竜類の顔面器官の進化について概説する。

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