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特集 頭蓋頸椎移行部病変
頭蓋頸椎移行部の解剖学的特徴(正常解剖)
Clinical Anatomy of Craniocervical Junction
西村 由介
1
,
齋藤 竜太
1
Yusuke NISHIMURA
1
,
Ryuta SAITO
1
1名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nagoya University Graduate School of Medicine
キーワード:
頭蓋頸椎移行部
,
craniocervical junction
,
脊椎不安定性
,
spinal instability
,
後方固定術
,
posterior instrumented fusion
Keyword:
頭蓋頸椎移行部
,
craniocervical junction
,
脊椎不安定性
,
spinal instability
,
後方固定術
,
posterior instrumented fusion
pp.216-223
発行日 2024年5月16日
Published Date 2024/5/16
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202293
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頭蓋頸椎移行部(craniovertebral junction:CCJ)とは?
CCJは脳(頭蓋骨)と脊髄(脊椎)の連結部にあたる部位であり,後頭骨と第1頸椎(環椎),第2頸椎(軸椎)から構成される(図 1).頭蓋骨という動きのない巨大な骨と運動器である脊椎との接合部であるため,大きな負荷がかかる部位である.
成人の頭の重さは約4〜6kgあり,これを頭蓋よりもはるかに小さい頸椎とその周囲の筋肉が支えている.しかも,首が前傾するほど頸椎にかかる負荷は増え,最終的にその負荷は小児の体重にも匹敵するほどの相当なものになる3).これだけ重い頭蓋を支えるには,強固な支持性が必要となるが,同時に頸椎は大きく複雑な可動域を有し,日常生活で頻回に動く場所でもある14).その中で中心的な役割を担うのがCCJであり,日常生活においては細かい首の振りや頷きなどの動作を頻繁に行う役割を担っている.可動域でみると,頸椎全体の前後屈の25%,回旋の50%をCCJが担っている8).頻繁かつ大きな可動範囲と,強固な支持性という矛盾する2つの役割を同時に実現するために,CCJは重要な多くの筋層・靭帯構造・関節で構成され,複雑な解剖構造となっている11).また,先天奇形の種類・頻度が多く,椎骨動脈の走行も複雑で個人差が大きい.硬膜内には延髄,上位頸髄という生命の中枢に関わる部分が存在し,数多くの脳神経もみられる.いずれも手術中に損傷すると重大な後遺症をきたす可能性がある重要構造物である.この部位の診断,手術を行うためには,筋肉,靭帯,骨,関節,血管,神経の解剖を十分に理解しておく必要がある.
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