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頭蓋頸椎移行部病変と聞くと,中下位頸椎や腰椎病変と比べて,少しハードルが高いと感じる読者先生もおられるだろう.その理由としては,頭蓋頸椎移行部には,骨形態・関節・筋付着部の独自性,椎骨動脈・静脈叢の存在もあり,頭蓋頸椎移行部病変に対する手術では,解剖学的知識に基づいた精緻な手術操作を要し,技術的難易度も比較的高くなることが挙げられる.また,頭蓋頸椎移行部病変にはさまざまな病態が包含されていて,他部位病変にはない多様性があり,それぞれの手術で,手術手技・外してはならないポイント・ピットフォールが異なることも関係するだろう.一方,3D-CTAなどを用いた術前血管評価を十分に行い,骨・動静脈・腫瘍など主病変の位置関係をしっかり把握することと,筋膜・骨膜・靭帯も含めた膜解剖を理解し,正しい剝離面で操作するコツを掴んでしまえば,頭蓋頸椎移行部における多くの病変に対して,戦う土俵に上がることができると感じられる.
本特集では,整形外科・脳神経外科のエキスパートの先生方から,解剖学的特徴・解剖学的破格・固定術に際して注意するポイント・変性疾患・腫瘍性疾患・奇形・血管障害・再建術を要した高難度症例まで,多岐にわたる内容・疾患・病態について詳しく解説いただいた.多面的に考えられる頭蓋頸椎移行部病変をさまざまな角度から一度に勉強することにより,1つ1つの手術手技をアップデートして洗練させるだけでなく,頭蓋頸椎移行部病変に対する理解を全体的に深化させることが本特集の目的である.素晴らしいエキスパート先生方の伝えたい気持ちが伝わる,言語化された知識・技術と,多くのシェーマや写真からなる本特集が,特に若い読者先生方の「頭蓋頸椎移行部病変でも立ち向かっていける!」につながることを心から願っている.
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