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特集 目で見て学ぶ脊髄・末梢神経疾患の診察法(動画付き)
第3章 特徴的な手足の徴候
脊髄係留症候群
Tethered Cord Syndrome
林 俊哲
1
Toshiaki HAYASHI
1
1宮城県立こども病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Miyagi Children's Hospital
キーワード:
脊髄係留症候群
,
tethered cord syndrome
,
脊髄脂肪腫
,
spinal lipoma
,
脊髄髄膜瘤
,
myelomeningocele
Keyword:
脊髄係留症候群
,
tethered cord syndrome
,
脊髄脂肪腫
,
spinal lipoma
,
脊髄髄膜瘤
,
myelomeningocele
pp.927-931
発行日 2024年1月19日
Published Date 2024/1/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202224
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脊髄係留症候群とは
脊髄係留症候群(tethered cord syndrome:TCS)とは,先天的あるいは二次的な要因により脊髄の係留が起こり,神経症状,膀胱直腸障害,筋骨格的症状などを呈する臨床的症候群である.脊髄髄膜瘤など先天的な脊髄形成異常に伴う脊髄症状とTCSは明確に区別されるが,実際の神経症状の原因がどちらであるかを明確に区別することはときに困難であり,前者は固定した症状であり,後者は進行性の症状であることをもって判断される.
さまざまな疾患が原因となり,脊髄が硬膜〜表層外胚葉組織へ付着/連続することにより牽引され,下肢の運動および感覚障害,膀胱直腸障害などの神経症状が引き起こされることは古くから知られていたが,1970年代にHoffmanら8)の報告した“tethered spinal cord(脊髄係留)”という用語とともに広く認識されるようになった.この症状は,特に幼少期においては成長とともに進行し,成人以後は運動などによる脊髄への繰り返す牽引などが原因となり症状が顕在化することが知られている5).症状は早期に治療すれば改善がみられる一方,長く放置されると不可逆となる.TCSに対する治療は外科治療が第一選択であり,手術による脊髄係留解除によって症状の改善ないし進行の抑制が得られることが知られている.一方,画像診断ではTCSの確定診断は困難であり,画像上脊髄円錐が低位で脊髄係留が疑われる症例でも無症候である場合には,必ずしも手術(予防的係留解除)の適応ではないため,TCSを診断するうえで診察は重要である.
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