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はじめに
近年,胸腰椎変形手術ではsagittal alignmentの調和が重要であるとの理解が深まり,pelvic incidence(PI),lumbar lordosis(LL),thoracic kyphosis(TK),pelvic tilt(PT),C7 plumb line(C7PL),sagittal vertical axis(SVA)などを計測し手術戦略を立てることが,標準化している.
頸椎変形においてもsagittal alignment不良と手術成績との相関が明らかとされ,C7PLとC2 plumb line(C2PL)との間の距離であるcervical SVA(C-SVA)やcenter of the gravity line of the head(COG)から下ろした垂線であるCOG PLとC7PLとの距離(COG-SVA)を計測し,sagittal alignmentが良好となるよう考えながら頸椎変形の治療を行うようになっている.そこにおいて大切なパラメータとして,上記に加えT1 slopeが鍵を握る.
われわれは頸椎後弯変形をSVAの大きさ,すなわちC7PLの偏位と重心位置で分類した4).しかしながら,これらには胸腰椎変形が併存する,いわゆるPI−LLの大きなミスマッチの症例群や胸椎の大きな後弯症例群が入っていなかった.
Global spinal alignmentの指標としては,従来SVAが汎用されてきたが,外耳道前面から下ろした垂線(COGPL)が真の重心線であることが明らかとされ2),COGPLとC7PLとの距離が通常では30mm以内であると報告された8).しかしながら,重度頸椎変形ではこの距離がきわめて大きくなり乖離してくるため,重心位置で分類するよりも,頸椎と胸腰椎との仲立ちであるT1 slopeを用いて論ずるほうが理解しやすいと考えるに至った.本稿では,新たに胸腰椎変形が原因で前方注視障害をきたしている症例や,頸椎変形と胸腰椎変形が併存している症例を加えて,T1 slopeをキーパラメータとして論じていきたい.
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