特集 術中脊髄機能モニタリングのUP TO DATE
特集にあたって
松山 幸弘
1
1浜松医科大学整形外科
pp.73
発行日 2023年4月28日
Published Date 2023/4/28
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202020
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
われわれが脊椎脊髄手術を行ううえで最も避けたい合併症の1つは,術後神経麻痺である.術中脊髄機能モニタリングは,術後神経麻痺を予防するうえで重要であることはいうまでもない.私が日本脊椎脊髄病学会で脊髄モニタリング委員会の委員長を拝命したのは2007年であり,15年間にわたって脊髄モニタリングの普及に努めてきた.術中脊髄モニタリングにはいくつかの運動路のモニター,感覚路のモニターがあるが,その組み合わせでより精度の高い脊髄モニタリングが可能となってきた.特に運動路のモニターであるBr-MsEP(CMAP)のアラーム策定は,委員会で多くの麻痺症例を検討し,前向き研究を行って信頼性の高い報告を数多くしてきた.術中脊髄モニタリングの普及を目的としたセミナー開催,さらには日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリング認定医制度も2020年からスタートしている.
過去を遡ってみると,術中脊髄モニタリングが本誌の特集として取り上げられたのは2006年(19巻)に鐙邦芳先生,2018年(31巻)に金彪先生が組んでいる.しかし,当時よりさらに術中脊髄モニタリングは進歩している.今回は日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリング委員会から輩出されたUP TO DATEの知識を委員会メンバーから論述していただいた部分が多い.最近の問題点として,①疾患によって危険な手術操作が違うこと,②術前の麻痺の状態によってもアラームポイントは違うこと,③どのような症例でレスキューされ,そのタイミングは? ④麻酔が脊髄モニタリングに与える影響,などが列挙される.
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.