特集 脊椎骨粗鬆症性椎体骨折に対する治療戦略—薬物療法を中心にUP TO DATE
特集にあたって
松山 幸弘
1
1浜松医科大学整形外科
pp.1051
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201542
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本誌27巻3号(戸山芳昭先生企画)で同テーマにて特集を組み7年が経過した.現在,わが国で保険適応がある骨粗鬆症治療薬の中で,椎体骨折抑制効果に対する明らかなエビデンスをもつ薬剤は,エルデカルシトール,ビスホスホネート,ラロキシフェン,バゼドキシフェン,遺伝子組み換えと化学合成のテリパラチド,デノスマブ,そしてロモソズマブである.本特集でそうした最近の進歩を踏まえて,脊椎骨粗鬆症性椎体骨折の至適な薬物療法について4人のスペシャリストにお願いし,それぞれの先生の経験に基づいた意見を述べていただいた.また,椎体骨折はできる限り少数で抑えるべきであり,保存療法,特に初期固定に重要な装具療法がどこまでよいのかについても検討していただいた.その中でも装具ではなく,徹底的なギプス固定を行ってきた杉田先生にその効果を示していただいた.一方,脊椎椎体骨折の保存療法にはもちろん限界もある.この保存療法の限界について,前向き多施設研究結果を踏まえて大阪市立大学整形外科の寺井先生に論述いただいている.
この特集で,椎体骨折に対しての最適な保存的療法は何なのか,ギプス固定は装具固定よりも優るのか,また薬物療法においてエルデカルシトール,ビスホスホネート,ラロキシフェンを初期に使用し,テリパラチド,デノスマブ,ロモゾズマブは椎体骨折が多発してからでよいのか? さらにはテリパラチド,デノスマブ,ロモゾズマブの適切な使用順番や,適応症例はどのように選択しているのかについて,各スペシャリストの意見が述べられている.読者にとって,この特集が少しでも骨粗鬆症性椎体骨折治療と骨折連鎖予防に役立つことを願ってやまない.
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