特集 押さえておきたい頸椎症の鑑別診断
特集にあたって
松山 幸弘
1
1浜松医科大学整形外科
pp.3
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120380010003
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頸椎病変由来の症状と上肢末梢神経病変由来の症状は,どちら由来のものなのか診断に苦慮することがある.両者の鑑別は,頸部痛,肩甲間部痛などの症状を伴えば鑑別は容易であるが,ときに鑑別に苦慮する症例を経験する.また,頸椎病変と末梢神経絞扼性病変ともに存在する場合もある.われわれ脊椎外科医からみた神経症候と脳神経内科医からみた神経症候学にギャップを感じるときもある.よく経験するものとして,頸椎症性頸髄症なのか筋萎縮性側索硬化症なのか,頸椎症性筋萎縮症と神経痛性筋萎縮症,C5障害と腋窩・肩甲上神経麻痺,前骨間神経麻痺,後骨間神経麻痺などの末梢神経障害とC8根障害の鑑別は,紛らわしい症例も多く,脊椎脊髄外科と脳神経内科のみならず,手の外科とも協力が必要な場合もある.また,髄内腫瘍なのか脊髄炎なのか,頸椎症性脊髄症なのか脊髄サルコイドーシスなのか,これらの鑑別には症候学はもちろんのこと,画像鑑別診断も極めていないと困難である.さらに,電気生理診断も鑑別には重要となる.
今回の特集では,整形外科医,特に脊椎脊髄外科医,手外科医からみた診断に苦慮する頸椎病変,上肢末梢神経病変を提示していただき,脳神経内科医からみた神経症候学をすり合わせ,そして両側からの依頼提言を行ってもらった.脊椎脊髄疾患や末梢神経症候学を必要とする脊椎脊髄外科医,手外科医,脳神経外科医,脳神経内科医にとって実りの多い内容となっていることは間違いない.是非期待していただきたい.
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