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特集 脊髄病理が診断や病態理解に重要な疾患
転移性脊髄硬膜外腫瘍による脊髄障害の病理・病態—静脈性循環障害の重要性
Pathology and Pathophysiology of Spinal Cord Damage Caused by Metastatic Spinal Epidural Tumor: Significance of Venous Insufficiency
亀山 隆
1
,
橋詰 良夫
2
Takashi KAMEYAMA
1
,
Yoshio HASHIZUME
2
1中部ろうさい病院脳神経内科
2福祉村病院神経病理研究所
1Department of Neurology, Chubu Rosai Hospital
キーワード:
転移性脊髄硬膜外腫瘍
,
metastatic spinal epidural tumor
,
硬膜外静脈叢
,
epidural venous plexus
,
脊髄病理
,
spinal cord pathology
Keyword:
転移性脊髄硬膜外腫瘍
,
metastatic spinal epidural tumor
,
硬膜外静脈叢
,
epidural venous plexus
,
脊髄病理
,
spinal cord pathology
pp.745-753
発行日 2023年3月24日
Published Date 2023/3/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201942
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はじめに
がん治療の進歩によるがん患者の生存期間の延長に伴い,脊椎転移は増加傾向となっており,今後も大きな問題となることが予想される.転移性脊髄硬膜外腫瘍は,対麻痺や膀胱直腸障害などの重篤な障害をきたし,患者のADLとQOLを損なう.麻痺をはじめとする神経症候はしばしば急速に進行し,不可逆性の障害を残してしまうことが多く,早期の診断と治療を要する神経学的緊急症である.
転移性硬膜外腫瘍による脊髄障害の病態として,従来から“metastatic epidural spinal cord compression”と表現されるように「圧迫」という機械的因子が重視されてきた感がある.外科的治療も「除圧」という目的で捉えられてきた.一方で臨床的には,MRI画像上の脊髄圧迫の程度と神経学的重症度や機能予後とは相関しないことも知られている24).本稿では,脊髄硬膜外転移における脊髄の病理所見を提示し,文献的考察を加えて,その脊髄障害の病態として,硬膜外静脈叢レベルでの静脈性循環障害が重要であることを指摘したい.
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