Japanese
English
特集 脊髄病理が診断や病態理解に重要な疾患
脊髄サルコイドーシス
Spinal Cord Sarcoidosis
安井 敬三
1
,
両角 佐織
1
,
荒木 周
1
,
亀山 隆
2
,
安藤 哲朗
3
,
橋詰 良夫
4
,
長谷川 康博
5
Keizo YASUI
1
,
Saori MOROZUMI
1
,
Shu ARAKI
1
,
Takashi KAMEYAMA
2
,
Tetsuo ANDO
3
,
Yoshio HASHIZUME
4
,
Yasuhiro HASEGAWA
5
1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院脳神経内科
2中部ろうさい病院脳神経内科
3亀田メディカルセンター脳神経内科
4福祉村病院神経病理研究所
5中部大学生命健康科学部作業療法学科
1Department of Neurology, Japanese Red Cross Aichi Medical Center Nagoya Daini Hospital
キーワード:
サルコイドーシス
,
sarcoidosis
,
病理
,
pathology
,
磁気共鳴画像
,
magnetic resonance imaging
,
MRI
Keyword:
サルコイドーシス
,
sarcoidosis
,
病理
,
pathology
,
磁気共鳴画像
,
magnetic resonance imaging
,
MRI
pp.775-780
発行日 2023年3月24日
Published Date 2023/3/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201947
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
脊髄サルコイドーシスの疾患概念
サルコイドーシスは,肺,眼,皮膚をはじめ全身臓器を侵す非乾酪性肉芽腫性疾患である.神経系に病変をきたす神経サルコイドーシスは,サルコイドーシス全体の約5%17)とまれで,脊髄サルコイドーシスは全体の1%未満4,20)とさらにまれである.脊髄サルコイドーシスの半数は脊髄症状で発症するため,本疾患の可能性を想起できるか,どの部位から生検して組織学的に診断するか,という診断上の困難さが指摘されている2).一方,画像診断の進歩がめざましく,脊髄サルコイドーシスに特徴的なMRI所見のtrident sign24)が指摘されたり,「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き」2020年改訂版14)では,18F-FDG/PETは肺病変の検出感度100%,肺外病変で90%と高く,Gaシンチグラフィより優れており,サルコイドーシスの診断を支持する際も除外する際も有用と考えられる.脊髄サルコイドーシスの診断は,神経組織で病理学的に証明した組織診断群(definite sarcoidosis)と他臓器で組織診断された臨床診断群(probable sarcoidosis)に分けられる16).Sohnら18)によると脊髄サルコイドーシスのうち前者は14%に過ぎず,後者のうち肺および胸腔内リンパ節生検による組織診断例が最多で62%だった.脊髄生検は侵襲性,後遺症の点で施行がためらわれることが多いため,脊髄病理の理解には剖検の役割が大きい.組織診断されていない例は疑診例とされ,強力なステロイド治療を開始するには不適と考えられるので,侵襲の少ない方法,部位を選んで組織診断を行う必要がある.
Copyright © 2023, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.