硬膜補塡材に関連する癒着性くも膜炎のリスク

Adhesive Arachnoiditis and Materials for Dural Plasty

はじめに

　癒着は創治癒のために生じる生体反応であり，癒着反応がまったく生じないと創部は治癒しない．しかしながら，癒着は再手術時操作の妨げになるため，どの分野でも手術後癒着の問題には手を焼いている．脊髄手術では癒着を生じると再手術時の開創困難，硬膜損傷のリスクが上がるのみならず，癒着性くも膜炎を併発し神経症状を発症する危険性がある．本稿では，硬膜補塡材と癒着性くも膜炎の関連に関して文献的に考察する．