Japanese
English
整形外科基礎
多椎間椎弓切除の馬尾に与える経時的変化―組織学的,機能的検討
A Histologic and Functional Study of the Time Course on the Cauda Equina Adhesion Induced by Multiple Laminectomies
高橋 直人
1
,
菊地 臣一
1
,
紺野 慎一
1
Naoto Takahashi
1
1福島県立医科大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University School of Medicine
キーワード:
cauda equina
,
馬尾
,
laminectomy
,
椎弓切除術
,
adhesive arachnoiditis
,
癒着性くも膜炎
,
treadmill test
,
トレッドミルテスト
,
electrophysiological function
,
電気生理学的機能
Keyword:
cauda equina
,
馬尾
,
laminectomy
,
椎弓切除術
,
adhesive arachnoiditis
,
癒着性くも膜炎
,
treadmill test
,
トレッドミルテスト
,
electrophysiological function
,
電気生理学的機能
pp.615-622
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903549
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抄録:ラットを用いて,腰椎後方手術侵襲の範囲が硬膜外組織で惹起される炎症反応や馬尾集合癒着の程度や馬尾機能に影響を与えるのか否かを組織学的,機能的,電気生理学的について経時的に検討した.組織学的検討では,対照群と椎弓切除群(1椎間,2椎間,および3椎間)のモデルを作製して,馬尾の組織学的変化の差異を術後6週まで,同じ椎弓切除高位で比較検討した.この結果,椎弓切除群では,いずれの群でも術後24時間で馬尾集合・癒着が認められた.また,椎弓切除の範囲が広くなるほど,馬尾集合・癒着の回復に要する時間が長かった.機能的,電気生理学的には術後6週まで検討した.運動機能はトレッドミルを用いての術前後での歩行可能時間を,電気生理学的検討は上行性脊髄誘発電位を導出しての潜時,知覚神経伝導速度,および振幅で対比した.この結果,各椎弓切除群で,すべての計測項目において統計学的有意差は認められなかった.すなわち,多椎間椎弓切除は馬尾集合・癒着の回復遅延を惹起するが,その組織学的変化は,6週間という時間的推移のなかでは歩行機能や馬尾の電気生理学的機能には影響を及ぼさない.
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