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はじめに
成人脊柱変形に対する脊柱矯正固定術が普及し,至適な矯正手技や固定範囲について議論がなされている.成人脊柱変形の術前後の評価には画像学的なspino-pelvic parameterが広く用いられており,これまでに多くの報告がある.しかし,医師による客観的な評価のみならず,患者の自己評価や症状の訴えをもとにしたエビデンスに立脚することが大切である.成人脊柱変形の多彩な症状によって生じる生活の質(quality of life:QOL)の障害を評価するためには,patient reported outcome(PRO)が欠かせない.成人脊柱変形患者の代表的なPROにOswestry Disability Index(ODI)とScoliosis Research Society-22(SRS-22)が古くから幅広く用いられており,これまでに術前後のX線パラメータとの相関が多く報告されている.このように歴史ある評価方法を継続して使用することにより,過去の報告と現在の報告や研究を直接比較検討できることの利点は大きい.他方で,これらの評価方法だけではASDの多彩な症状を網羅しきれていない可能性がある.われわれはこれまでに成人脊柱変形の症状や手術成績を評価するために幅広く用いられてきたPROに加えて,Frequency Scale for the Symptoms of GERD(FSSG)を用いて胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)を,Geriatric Locomotive Function Scale-25(GLFS-25)を用いてASDの運動器の衰えについて評価し,術前後の変化について検討してきたので本稿で紹介する.
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