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特集 成人脊柱変形Up to Date
第2章 疫学・症候
成人脊柱変形とQOL
Adult Spinal Deformity: Importance of Postoperative Quality of Life
戸川 大輔
1
Daisuke TOGAWA
1
1近畿大学奈良病院整形外科・リウマチ科
1Department of Orthopaedics and Reumatology, Kindai University Nara Hospital
キーワード:
成人脊柱変形
,
adult spinal deformity
,
生活の質
,
quality of life
,
QOL
,
中長期成績
,
mid-long term results
Keyword:
成人脊柱変形
,
adult spinal deformity
,
生活の質
,
quality of life
,
QOL
,
中長期成績
,
mid-long term results
pp.701-708
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201728
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成人脊柱変形に対する手術治療の選択
成人脊柱変形には,先天性や症候群性,特発性側弯症の遺残変形,外傷・医原性,椎体骨折を伴う後弯変形,加齢による変性側弯や椎体骨折のない後弯変形など,さまざまな年齢層にさまざまな病態(原因)が存在する.多くの成人脊柱変形症例では構築性の変形があり,立位の姿勢保持や持続歩行が困難で保存的治療が奏効しにくい16,34,36).しかし近年,さまざまな骨粗鬆症治療薬や手術デバイス,術式が開発された.また,頭蓋から骨盤,下肢まで考慮した立位全脊椎矢状面アライメントの画像評価方法などが発展して,変形矯正手術における矯正目標が立てられるようになった50,37).侵襲度が高く,手術合併症率の高い成人脊柱変形に対する矯正手術ではあるが1,33,51),このような背景をもとに近年になって積極的に手術治療が行われるようになりつつある18,31).
成人脊柱変形の手術治療では,通常広範囲に矯正固定術が行われる.特に高齢者では,固定遠位端での破綻とそれによる再手術を避けるため骨盤までの固定が選択されることが多い26,56).このような高齢者に対する広範囲矯正固定術では脊柱の可動性を失うため,術前には存在しなかった日常生活動作の支障が術後に発生する54).したがって,成人脊柱変形に対する広範囲脊柱矯正固定術は,術後に生じる可能性がある日常生活の支障をはるかに超える症状の改善が得られる予測が立てられる場合に行うこととなろう.
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