腰椎椎間孔狭窄に対する顕微鏡下の対側進入椎間孔除圧術

Microscopic Contralateral Foraminal Decompression for Lumbar Foraminal Stenosis

はじめに

　腰椎椎間孔の境界に関する解剖学的定義は諸家により異なる^12）．本稿では，頭尾側一対の椎弓根内側縁から外側縁の間を椎間孔内，椎弓根外側縁より外側を椎間孔外，椎間孔内と椎間孔外を合わせて椎間孔部と呼称する．

　外側型腰部脊柱管狭窄は，外側陥凹狭窄，椎間孔内狭窄，椎間孔外狭窄に分類され，腰椎変性疾患に占める出現率は8〜11％^12,15,26）のまれな疾患^15,18）だが，Macnab's “hidden zone”^18）として知られるfailed back surgery syndrome（FBSS）の最大の要因（29〜58％）^2,29）とされてきた．

　腰椎椎間孔部狭窄は疾患概念の普及，臨床像の理解，画像診断や各種補助診断法の発展により，まれな疾患ではなく神経根症の一般的な原因であることが明らかになってきた．一方，MRIは疑陽性率が高く脊柱管狭窄との合併例も多いこともあり，正確な診断に苦慮することが少なくない．臨床症候・経過や理学的所見を正確に把握し，複雑な病態に応じた適切な術式を選択する必要がある．各種後方除圧術単独または除圧固定術が選択されるが，理想的な術式選択には異論が多い．

　本稿では，腰椎椎間孔内狭窄に対する手術顕微鏡下の対側進入椎間孔内除圧術に焦点を当て述べる．