Japanese
English
特集 Failed back surgery syndromeへのアプローチ—診断と対処法
総論—FBSSの病態
Overview: Pathogenesis of FBSS
渡邉 和之
1
,
紺野 愼一
1
Kazuyuki WATANABE
1
,
Shin-ichi KONNO
1
1福島県立医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University School of Medicine
キーワード:
脊椎術後疼痛症候群
,
failed back surgery syndrome
,
FBSS
,
慢性疼痛
,
chronic pain
,
慢性腰痛
,
chronic low back pain
Keyword:
脊椎術後疼痛症候群
,
failed back surgery syndrome
,
FBSS
,
慢性疼痛
,
chronic pain
,
慢性腰痛
,
chronic low back pain
pp.466-472
発行日 2022年2月21日
Published Date 2022/2/21
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201672
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はじめに
腰仙椎部退行性疾患の治療として,保存療法が無効の場合には手術療法が選択される.手術成績は概ね良好であるが,一部に手術成績不良例が存在し,難治性となる場合がある.主に腰椎手術後に症状が遺残,または悪化してしまった場合をfailed back surgery syndrome(FBSS)と呼称している10,14).FBSSは,手術回数にかかわらず,腰椎手術後に満足のいく効果が得られなかった成績不良例を指す.FBSSにはさまざまな病態が含まれており,腰仙椎部退行性疾患の診断から手術に至る過程のどこかに問題があるとFBSSの発症につながる.診断の誤り,不適切な手術手技,手術合併症,隠れた病態の存在,および再発などが挙げられる.腰椎手術は脊椎に不可逆的な変化を与えるために,一度手術が行われてしまうとその影響は持続する.診断や手術適応に誤りがあると,症状の改善につながらないだけでなく症状の悪化を引き起こす可能性もある.したがって,脊椎手術においては特に術前の診断と手術適応について慎重に吟味する必要がある.手術が予定通り施行されて,画像上の問題がまったくないにもかかわらず期待通りに症状が改善しなかったり,ときには悪化してしまったりすると,明確な解決策がないまま治療に難渋することになる.精神医学的な問題の合併は,手術に対する満足度の低下など手術成績不良に関与するため10,16),それらの問題の有無を術前に評価しておく必要がある.本稿ではFBSSの病態について概説する.
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