Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
Failed back surgery syndrome(FBSS)は,腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症,腰椎すべり症などの脊椎疾患に対し手術療法が選択され,手術後に腰痛・下肢痛・しびれなどの症状が残存または再発した状態である.初回手術の手術適応などに問題がある場合もあるし,症状の増悪に心因的要因も加わり,再手術の適応は慎重に考慮されないとさらなる症状の増悪を招く場合がある.多くはないが,完全内視鏡脊椎手術(full-endoscopic spine surgery:FESS)がFBSSの治療に貢献する場合もある.特に外側陥凹狭窄や椎間孔狭窄に加え,通常の方法では再手術の際,椎体間固定術が選択されるような症例でも固定を回避して治療が可能である.また低侵襲であるがゆえ,初回手術のような長期入院や創部痛が少なく,術後3時間から歩行可能であることから,患者の心因的要因も軽減することができる.FBSSに対するFESSによる手術適応の決定には,やはり術前の神経根ブロックなどの局在診断が重要である.鑑別診断という観点から高橋敏行先生の総説14)は大変参考になるものと思う.FBSSはCTやMRIなどの画像診断だけに頼った手術適応決定により生じた場合が多いので,この点は特に注意してしっかりとした術前検査(神経所見,神経生理学的検査,神経根ブロックなど)を行うよう心がけてほしい.局在診断ができれば,FESSのどのようなアプローチが適当であるか,術前に検討し実施するだけである.本稿ではFESSではどのようなアプローチが可能であるかまず簡単に説明した後,症例を提示しながら各アプローチでのFBSSの治療方法に関して解説する.
Copyright © 2022, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.