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特集 手術部位感染(SSI)アップデート
術後抗菌薬投与期間の短縮はSSI発生率を上げるか?
Does the Duration of Antimicrobial Prophylaxis Affect the Incidence of SSI after Spine Surgery?
永田 向生
1
,
山田 浩司
2
Kosei NAGATA
1
,
Koji YAMADA
2
1東京大学整形外科・脊椎外科
2中野島整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery and Spine Surgery, The University of Tokyo
キーワード:
抗菌薬予防的投与
,
antimicrobial prophylaxis
,
創部感染
,
surgical site infection
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus
Keyword:
抗菌薬予防的投与
,
antimicrobial prophylaxis
,
創部感染
,
surgical site infection
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus
pp.437-441
発行日 2022年1月31日
Published Date 2022/1/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201663
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はじめに
脊椎手術における創部感染(surgical site infection:SSI)は,ときに脊椎の骨破壊を伴い,歩行が困難になるなど機能予後に重篤な影響を及ぼすことがある.予防的抗菌薬の投与はエビデンスのある創部感染(SSI)予防策である.脊椎手術のSSI予防には,適切な抗菌薬を適切なタイミングで切開前に投与を開始することが推奨される.しかし,この投与期間においては複数のガイドラインで異なる意見があり,施設ごとに分かれているのが本邦の現状である.本邦のガイドラインでは,特に脊椎インストゥルメンテーション手術において48時間以内の投与を認めているが8,12),American Society of Health-System Pharmacists(ASHP)2)やMusculoskeletal Infection Society(MSIS)10)では24時間以内,Center for Disease Control(CDC)1)やWorld Health Organization(WHO)3)のガイドラインでは術中投与のみとしており,予防的抗菌薬の投与期間は世界的には短縮傾向にある.これには抗菌薬使用量を減らして,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)の割合を下げようという目的が背景にある.本稿では,CDCやWHOのガイドラインを脊椎手術に応用することの問題点を含め,SSIの予防といった観点から予防的抗菌薬の投与期間についての知見を述べる.
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