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この2年間,世界は新型コロナウイルス感染症に振り回されてきた.毎日世界各国の感染者数が報告され,多くの対策が提唱されている.ワクチンも開発され接種が進んでいるが,次々と変異株も現れて,出口が一向にみえてこない.このような状況の中,日々のニュースをみながら思うのは,素人だけでなく専門家といわれる人たちの意見も本当にさまざまだということである.今振り返ってみると,正しかったこと,間違っていたことがわかるものもあるが,議論されているときには判断がつかなかった.登場時には不明だったワクチンごとの効果や副反応の差も徐々に明らかになってきている.しかし,感染状況にインパクトを与えるのは1つの要素だけではない.国によっても感染者数や医療圧迫の様相は違い,政治体制やその国の生活習慣・文化なども感染に大きく影響することがわかる.また,政治家は感染を抑制しながら経済も回さないといけないという難しい舵取りを迫られており,何を優先するかも結果を左右する.新型コロナウイルスの登場からこれだけ時間が経っても,いまだ真偽のわからない説も多く,それぞれがもっともらしく主張されている.ただし,よいと信じる対策を積極的に試み,議論と修正を続けることがコロナ制圧のために大変重要であることは間違いない.多くの経験を積み重ね,その結果を分析し科学的に考察することで,即効性のある対策がつくられていくのだと思う.
外科医にとって昔から手術部位感染(SSI)はとても重要な問題であり,脊椎脊髄外科においても例外ではない.ある意味,手術の発展はSSIとの戦いだったともいえるが,これは現在のコロナ対応と重なる.いろいろな説があり本当に正しいのかどうかわからないことも多いが,少しでもSSIの確率を下げるため,研究し対策し続けなければならない.
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