特集 始まった! 脊椎ロボット手術
特集にあたって
根尾 昌志
1
1大阪医科薬科大学整形外科学教室
pp.3
発行日 2024年1月26日
Published Date 2024/1/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202244
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私はちょうど40年前に医師になった.当時の脊椎脊髄外科では,検査はミエロ(+CT)が主で,治療はほとんどが後方除圧術か前方(除圧)固定術であった.しかし,その後次々に新しい診断法,治療法が開発されていき,私は脊椎脊髄外科を通して科学,医学の進歩を目の当たりにし,またそれによって患者さんに喜んでもらえるようになることがエキサイティングであった.特に,機械,機器の発達は目覚ましく,MRIや手術用顕微鏡の一般化,インストゥルメンテーション技術や各種インプラントの発達,MEDから始まった一連の低侵襲手術やLIFの進歩,術中CTとナビゲーションの登場,3次元実体モデルやVR,ARの応用,人工椎間板の導入などが挙げられる.
そして,今後脊椎脊髄外科分野の新たな潮流の1つとなりそうなのが,今回特集した脊椎手術用ロボットである.2020年から日本でも使用可能となって徐々に広まりつつあり,私自身の施設でも2022年に導入した.最初はナビゲーションの延長くらいにしか思っていなかったが,実際に使用してみると,それを超えた多くの利点があることがわかってきた.それだけでなく,新たな機能が加わる余地があることも実感できた.今では,今後どんどん発展を遂げる分野だと確信している.購入価格の点から導入を試みる施設はまだまだ少ないが,現在かなり一般化しているナビゲーションも黎明期は同様であったと記憶している.
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