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特集 脊椎骨粗鬆症性椎体骨折に対する治療戦略—薬物療法を中心にUP TO DATE
椎体骨折予防と治療における至適な薬物療法について—非臨床試験・臨床試験からみた薬剤の特徴
Characteristic of Denosumab, Teriparatide, and Romosozumab: Non-clinical and Clinical Studies
斎藤 充
1
Mitsuru SAITO
1
1東京慈恵会医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Jikei University School of Medicine
キーワード:
骨質
,
bone quality
,
重症椎体骨折
,
severe vertebral fracture
,
骨粗鬆症治療薬
,
drugs for osteoporosis
Keyword:
骨質
,
bone quality
,
重症椎体骨折
,
severe vertebral fracture
,
骨粗鬆症治療薬
,
drugs for osteoporosis
pp.1081-1090
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201547
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はじめに
骨は海綿骨では年間40%が,皮質骨では年間4〜7%が新陳代謝(リモデリング)しているため,薬剤をはじめとした介入効果が出やすい臓器である.しかし,性ホルモンの減少は生涯消えないリスクであるため,ひとたび治療を中止すれば,破骨細胞は再び息を吹き返し,骨密度,構造は破綻し,酸化ストレスの亢進により材質も劣化し,再び骨折リスクが上昇する.すなわち,生涯にわたる骨のケアが必要といえる.さらに,骨粗鬆症性椎体骨折は連鎖する.初回骨折後の1年で2次骨折のリスクはピークとなる.動物実験,そして長野コホートの検証から,骨密度と骨質(材質:骨コラーゲン)が同時に低下するタイプの骨粗鬆症例は,骨折するリスクも高ければ,ひとたび骨折すると多発椎体骨折を起こし,40%以上の重度圧潰を呈することも見出した.種々の骨粗鬆症治療薬の骨折防止効果は投与後1〜2年で発揮される.すなわち,初回の椎体骨折と同時に治療開始しないと椎体の二次骨折を防ぐことができない.新たな骨折の危険性の高い骨粗鬆症の定義も示された.こうした重症型の骨粗鬆症に対する,デノスマブ,テリパラチド,ロモソズマブの位置づけについて概説する.
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