Japanese
English
特集 CKD-MBDの新しい潮流
CKD-MBD管理の課題
CKD患者における骨質
Bone quality in patients with CKD
斎藤 充
1
SAITO Mitsuru
1
1東京慈恵会医科大学整形外科学講座
キーワード:
bone quality
,
collagen post-translational modification
,
advanced glycation end products
Keyword:
bone quality
,
collagen post-translational modification
,
advanced glycation end products
pp.331-339
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000877
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はじめに
骨強度は骨密度と骨質に依存するが,慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(chronic kidney disease-mineral and bone disorder:CKD-MBD)の骨強度低下は,骨代謝回転(リモデリング),石灰化度,構造,骨密度を中心に論じられてきた。そのなかでビタミンDの活性化障害や,それに伴う副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の上昇に伴う骨吸収の亢進(二次性副甲状腺機能亢進症)が主たる問題とされてきた。こうした骨吸収の亢進は,海綿骨の微細構造の破綻や皮質骨の多孔化や菲薄化といった「構造学的骨質」の低下を説明できる。さらにこうした骨構造を作り上げている骨組織はリモデリングの亢進により骨単位のライフスパンが短縮し,二次石灰化度を高めることができなくなる。これら2点があいまって骨密度検査では「低骨密度」となる。しかし骨リモデリングが低下する無形性骨では二次石灰化度が高まり骨強度は増すのか? 答えは,増すことはなく,より一層低下する。すなわち,骨リモデリングの亢進や石灰化障害のみを基軸として,構造破綻や石灰化度低下,それに起因する骨密度の低下を説明しようとすると矛盾が生じる。
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