Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
一般に,成人の椎体骨折では,DenisのThree column theory1)に基づいて骨折の分類がなされ,compression fractureであれば,固定装具の種類にかかわらず予後は良好である.ところが,骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)では,Denisの理論は成り立たず,ほぼすべての骨折はmiddle columnに達する不安定な骨折である10).つまり,OVFには,Denisの定義したcompression fractureはほとんどない.したがって,OVFの治療をするには,OVFに適応した骨折の分類と自然経過に対する知識が必要である.
われわれは2002年にOVFの分類と自然経過(図 1)を明らかにし,床上安静とコルセットの治療では,予後不良の骨折が3種類あることを報告した11).一方,吉田ら15)は2002年に,初診時から4週間の体幹ギプス固定を行うことにより,椎体骨折274例349椎体のうち圧潰したものは40例40椎体であったと報告している.つまり,コルセットとギプスでは固定力がまったく違うことを理解しなければならない.
筆者は30年間,できる限りギプス固定をしてきたが,初めの25年間は,起立困難な症例に対して数日後にギプスを巻いていた.ところが,痛みが継続するためにギプスを巻けず,結果的に手術が必要となった症例を数多く経験してきた.したがって,直ちにギプスを巻かないことが保存的治療失敗の原因であったと考えている.そして,最近の5年間は,痛みが強くとも初診時にギプスを巻き,離床を進めることにより,手術が必要な新鮮骨折はないことを理解した.
今回は,2016年からの3年間に保存的に治療した200例のOVF(T10-L5)のうち,一般に手術が必要と考えられている症例:①一部隆起型骨折(23例),②全体隆起型骨折(23例),③びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)に合併した椎体骨折(21例)の3つのタイプについて,徹底的な装具治療をすれば手術は必要ないということを,椎体内cleftを認める症例を用いて説明する.ただし,検討項目は疼痛が軽快するまでの期間,骨癒合までの期間,局所後弯角とした.
Copyright © 2020, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.