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特集 脊椎脊髄疾患に対する分類・評価法
第10章 脊髄変性・炎症
筋萎縮性側索硬化症の診断基準
Diagnostic Criteria of Amyotrophic Lateral Sclerosis
高橋 和沙
1
,
園生 雅弘
1
Kazusa TAKAHASHI
1
,
Masahiro SONOO
1
1帝京大学医学部脳神経内科
1Department of Neurology, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
改訂El Escorial診断基準
,
revised El Escorial criteria
,
Awaji基準
,
Awaji criteria
,
updated Awaji基準
,
updated Awaji criteria
Keyword:
改訂El Escorial診断基準
,
revised El Escorial criteria
,
Awaji基準
,
Awaji criteria
,
updated Awaji基準
,
updated Awaji criteria
pp.509-514
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201406
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は,上位運動ニューロン(upper motor neuron:UMN)と下位運動ニューロン(lower motor neuron:LMN)が進行性に障害され,発症後平均3〜5年で呼吸不全による死亡ないし呼吸器装着となる予後不良な疾患である.現在認可されているALSの治療には,内服薬のリルゾール(リルテック©)と,点滴薬のエダラボン(ラジカット©)がある.どちらも生存期間や人工呼吸器装着までの期間を数カ月延長させる効果がある.早期治療の開始や治験への参加,また患者が今後の人生設計や選択肢について検討するためにも,ALSと早期診断することは非常に重要である.
ALSは中高年以降で発症することが多く,筋力低下をきたすことから,脊椎・脊髄疾患との鑑別を要することがある.特に,ALS患者に脊髄手術を施行すると,病状の進行が速くなるという報告もあることから17,21),慎重に鑑別を行う必要があり,安易な脊椎手術は慎むべきである.また,運動性多巣性ニューロパチーや筋炎などの治療法の存在する他疾患をALSと誤診すると,患者の治療機会を奪うことになるため,きちんと鑑別する必要がある.
ALSの確定診断のために特異的なバイオマーカーや遺伝子検査などはいまだ存在せず,診断には臨床症候や電気生理学的検査が重要である.
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